そんな筋力で大丈夫か?大問題だ。
ーーその様子はまるで戦場である。
そう呟きたくなるほど、カオスな状態が東京の帰宅ラッシュの車内だ。
良ポジションを獲得し、最寄り駅までじっと息を殺して、狂った状況をやり過ごす。
先日もそんな状態の電車に乗り込んだ私だが、パーフェクトではないが、そこそこの良ポジションを得る事ができてホッとしていた。
先頭車両のドアの脇だ。
ここは、つかまるポールがあるし、乗客が乗り降りする際、いちいち降りなくてもよいポジションである。
先車両なので優先席がなく、私の後ろは最良ポジションの角地。
角地の人が早めに降りてくれれば、その最良ポジションに収まることも可能だ。
良かった。
今日の戦場において、私は勝った。
そう思っていた時。
二人組の男性が乗り込んできた。
まだ20代と思われる若者だ。
見た目は新卒で銀行、もしくは証券会社に入ったフレッシャーズといったところ。
ワックスで髪をなでつけ、真新しい鞄とスタバ(多分)のカップ。
彼らはドアの入口付近を陣取っていたが、話に夢中のようである。
そこまではよかった。
車内に飲み物を持ち込むのはあまり感心しないが、音楽を聴いていたのでうるさいとは思わなかったし、仕事が上手くいってはしゃいでいたのだろうと思っていた。(若いしね)
でも。だけど。
私側にいたスタバ君が、信じられないほど反り返ってきたのだ。
入口ドアに体の側面を預け、スマホをいじりながら話をし、コーヒーをストローで飲んでいるのだが(忙しいな)、段々頭がこっち側に倒れてくる。
そのうち、頭だけではなく肩まで倒れてくるようになった。
足の位置はあまり変わっていないはずだから、相当反っているはずである。
しまいにはポールにもたれ掛かるようになり、私はそれに掴まる事ができなくなってしまった。
可哀想なのは私の後ろにいた最良ポジションをゲットした男性である。
『違うのよ!私じゃない!この反り反り男が段々ずれてくるから……!』
と言いたかった。
彼は非常に窮屈だったと思う。
ちなみに、スタバ君の周りはまだ空間があった。反っているので1.5人分を陣取っていたのである。(真っ直ぐ立っていれば、もちろん1人分だ)
そして、その後ターミナル駅に着いた時、たまらず場所を移動した。
こうして私は良ポジションを失った。
最近思うのは、若い人の筋力って低下してるの?
という事だ。
先述のスタバ君は、あるいは酔っていたのかもしれないが(しかし、飲みが終わる時間帯ではないし酒臭くもなかったので、確率としては低い)朝の通勤時間でもユラユラしている若い子をよく見かける。
つり革につかまっていてもしっかり立てないみたいで、片足に体重をかけたり、つり革を両手で持ったり片手にしたり、非常に落ち着かない。
これから、ますます筋力は落ちてくる。
何もしなければ、例え若い人だってそうなのだ。
筋力がないと、戦場(帰宅ラッシュ)で踏ん張ることもできないのだから、周りに迷惑をかけないためにも『筋活』をしようと思ったきつね子でした。